原文(英語)著者:Mo Stone タイトな納期の翻訳仕事をようやく納品したのは真夜中。遅くまで起きていたために体の調子が悪くなることは承知の上。でも、フリーランスのあなたに病気になる時間はありません。フリーランスとして仕事を増やしていくと同時に健康でいるためにはどうすればいいか、当社のアドバイスをご紹介します。 境界を設けて燃え尽きを防ぐ 在宅で仕事ができることや、自分に権限があることは良い点なのですが、多くのフリーランス翻訳者が、平均的な時間以上の業務を行い、私生活が仕事に奪われてしまうという状況に陥ります。仕事と私生活のバランスを保つために、スケジュールの規則を設けることが重要です。業務時間を設定し、それを守りましょう。9時から5時まで週40時間働く必要はありません。あなたに最適なスケジュールを選べばいいのです。在宅で働く場合は、業務だけではなく家事や個人的な用事のスケジュールも決め、やるべきことが溜まってしまわないようにすることが必要です。そうしないと、長期的にはさらに仕事が増え、バランスが崩れてしまうことになりかねません。 顧客との境界も重要です。依頼されるあらゆる仕事を全て引き受けたいと思うかもしれませんが、この習慣は燃え尽きを起こすことになりかねません。顧客への提示価格を上げ、顧客数を減らし、連絡のやり取りは業務時間内のみに行いましょう。もちろん、納期を守るために作業時間を延ばし、集中して働かなくてはいけない期間も必ず出てくるでしょう。しかし、それは規則ではなくあくまで例外としましょう。 食事と運動を維持 プロジェクト単位で働く人にとって、お金を稼ぐことも自分の健康を管理することも自分次第です。仕事日の1日を通して良い習慣を保つことは大きく影響します。グラノーラバー、ナッツ類、果物や野菜などの健康的なおやつを用意しておき、砂糖不足からくるエネルギー切れを起こさないようにしましょう。コーヒーは、目を覚ますために朝や午後に飲むと良いですが、終日飲み続けると脱水症につながるため良くありません。十分な水分を摂ることをつい忘れてしまう人は、1日に必要な量の水が入った大きな水筒を机に置いておき、仕事中に少しずつ飲むことをお勧めします。 運動は体に良い食事と同じく重要です。フリーランサーは、気づけば机に長時間向かっていることがよくありますが、長時間座ることは体に良くありません。こまめに休憩を取り、ストレッチをして気分をスッキリさせましょう。ウォーキング、サイクリング、ヨガ、オンライン動画の高強度インターバルトレーニング、ウェイトトレーニングなど、あなたが楽しめる種類の運動を選びましょう。毎日の運動が自分の好きな種類のものなら、続けて習慣にできる可能性も高まります。基本的なことを言うようですが、食事や運動で健康を管理することで、気持ちやエネルギー、集中力を最高の状態に保ち、自分の可能性を最大限に引き出して質の良い翻訳を提供することができます。 プロのオフィスにするには 休憩を取ったり運動をしたとしても、フリーランス翻訳者は1日の大半を机に座って過ごします。正しい姿勢で座ることが重要です。ソファーや座り心地の良くない椅子に座っての作業は、背中や背骨に深刻なダメージを与えかねません。人間工学椅子に投資したり、1日の中で場所を移動するのも良いでしょう。座る時は姿勢を正し、体重が椅子に均等にかかるように腰掛け、両足は床に平らに置きます。足を組むと姿勢が悪くなり血液の流れを妨げるので避けましょう。1日の中で立って過ごす時間を持つことは良い考えです。立ち机を購入したり、電話などの業務を立って行うなどして、これを実践するのも良いでしょう。 翻訳者の健康についてのもう1つの心配事は、長時間パソコンの画面を見ることによる眼精疲労です。眼精疲労を防ぐためには「20-20-20の法則」を実践しましょう。これは20分間画面を見たら、20フィート(約6メートル)先を20秒間見るというものです。これにより目を休ませ、疲労と緊張を防ぎます。この簡単な休憩中に、水筒の水を飲んで水分補給しましょう。 結論 仕事と私生活のバランスを保つために境界を設け、体に良い食事と運動を実践し、健康的な習慣を支える良いオフィス空間を持つことは、健康で幸せなフリーランサーへの道につながります。ここに挙げられなかったアドバイスは何かありますか。健康な翻訳者であるためにあなたは行なっていることは何ですか。下のコメントでぜひ教えてください。
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慣用句や話し言葉の翻訳:翻訳アドバイス
原文(英語)著者:Mo Stone 熱心に文章を訳していていると、突然慣用句が出てくることがあります。話し言葉や文化的なことわざの翻訳が最も難しいことの1つだという意見に同意する翻訳者は多いでしょう。これらを別の言語や文化へ翻訳することは、必ずしも簡単であるとは限りません。あなたならどうしますか。次回の翻訳の仕事が少し楽になるアドバイスを集めました。 慣用句、話し言葉とは何か 慣用句とは「複数の単語を組み合わせ、それぞれの単語が持つ意味を超えた意味を持つもの」と定義することができます。つまり、全体としての語句がそれを構成する各単語の意味とは異なる、より抽象的な表現です。例えば、to kill timeという英語のことわざがあります。もちろん、time(時間)は、実際にkill(殺す)ことはできません。この表現は「時間を潰す」という意味で使われます。慣用句に似た話し言葉とは、俗語など格式張らないくだけた会話で使われる言葉や語句を指します。 翻訳で注意すること 慣用句の翻訳が非常に難しいのには、いくつか理由があります。まず、翻訳者はソース言語とターゲット言語の両方、さらにそれぞれの文化にも通じていなくてはなりません。そうでなければ、翻訳中にそれが慣用句であると気付かない可能性すらあります。スペイン語のNo tener pelos en la lenguaを例にとってみましょう。これを文字通りに訳すと「舌に髪を置かない」となります。これを知らない人には意味が通じませんが、これは「率直に話す」という意味の慣用句なのです。 慣用句には別の難しさもあります。例えば、ターゲット言語に同等の表現が無い場合や、ターゲット言語に似たような語句があったとしてもそれが異なる状況で使われる場合です。1点目の例は、日本語の「猫舌」です。これは、熱いものを食べたり飲んだりすることが苦手な人を指す言い方ですが、この表現は英語には存在しません。2点目の例としては、スペイン語のQuedarse de piedraが挙げられます。これは「石のようになる」という意味です。この文字通りの訳し方を見て、正しい翻訳は「石のように動かずじっとしている(全く動かずにいる)」という表現が正しいのではないかと考える翻訳者もいるかもしれません。しかし実際には、これはスペイン語で「非常に驚く」という意味の慣用句なのです。 慣用句の訳し方 幸いなことに、慣用句や話し言葉を訳すにはいくつかの方法があります。しかし、これには検討すべき多くの要因が関係してくることから、どの方法を選ぶかはそれぞれの状況によって異なることに注意してください。 慣用句の単語1つずつを訳すのではなく、ターゲット言語での同等な表現を使用します。最も理想的な状況は、似たような意味と単語を持つ言い方がターゲット言語に存在する場合です。似たような単語を持つ慣用句が見つからない場合は、ターゲット言語で同じ意味を持つ慣用句を使用します。例えば、スペイン語のDe tal palo, tal astillaの文字通りの翻訳は「小枝の破片」となりますが、これを英語に訳す場合、Chip off the old block(古い塊の破片)と訳します。こうすることで、ソース言語の慣用句の雰囲気を保ちつつ、「親そっくりの子供」という意味を失うこともありません。 では、似たような話し言葉がターゲット言語にない場合はどうすれば良いでしょうか。これにはいくつかの選択肢があります。全体の意味を伝える自分自身の言葉を使って語句を訳す方法があります。例えば、日本語の慣用句には、英語ではそれに相当する言い方が無いものが多く存在します。「目が点になる」「耳にたこができる」などがその例です。これを英語では、それぞれ「非常に驚く(become shocked)」「繰り返し聞かされる(be told repeatedly)」と訳します。このように言い換えることで、ソース言語の雰囲気が失われてしまうかもしれませんし、特にユーモアのある慣用句はそうかもしれません。しかし、上述の解決策が使用できない慣用句には、多少意味が変わってしまうとしても仕方ないことかもしれません。 今回ここに挙げたアドバイスが、次に慣用句や話し言葉を翻訳する際に役立ちますように。他にも何か方法があれば、下のコメントでぜひ教えてください。
翻訳業界に入るには
原文(英語)著者:Mo Stone 翻訳はここ10年で非常に大きく成長した大規模な業界です。インターネット、技術、接続環境により、国境を超えたやり取りがこれまでになく簡単になっている今、翻訳業界は今後も成長を続けるでしょう。これは、専門としたい分野や働き方(フリーランスまたは社員)によって、翻訳者にとって大きな機会です。翻訳者として業界へ入るためのアドバイスをご紹介します。 翻訳者のための教育と資格 まず、明らかなことを指摘するようですが、少なくとも2つの言語を知っている必要があります。現在、翻訳需要が高い言語は、英語、中国標準語、スペイン語、ロシア語、ドイツ語、日本語です。あなたが扱う言語の高い言語能力を示すことです(母国語である、大学で専攻した、その言語が話される国の留学や在住経験があるなど)。 しかし、もう1つの言語をただ知っているだけでは、翻訳のキャリアを保証するものとはなりません。これに加えて翻訳について学んだり資格を得ることは有益です。大手翻訳会社の多くは、必要な資格や能力をウェブサイトに掲載していますので、希望する会社があれば、これを目標にすることができます。また、例えば米国を拠点とするアメリカ翻訳者協会(ATA)の翻訳者認定など、あなたの国の翻訳の資格を調べてみましょう。 また、仕事に役立つ様々なツールやソフトウェアの資格も検討してみてください。これは、企業の採用担当者が必ず探しているものです。翻訳者は皆、講座やウェビナー、ネットワーキングイベントなどを通して自己の成長に努めることをやめず、最新の技術や傾向を常に把握することが必要です。これは、他の翻訳者との差を付け、業界での雇用につながります。 翻訳者を始める 幸いにも、翻訳者になるには翻訳専門の学校へ通う必要はありません。高い言語技能や文化的知識を持ち、最新の技術やツール、市場傾向を知ることが、他の翻訳者との差を付けることにつながります。また、別の分野での経験も、翻訳キャリアの足を引っ張るどころか役立つものとなるでしょう。例えば、法律や医療分野での職務経験は、法律・医療翻訳という、業界でも特に特化した分野での翻訳を始めるのに役立ちます。 フリーランスとなる場合は、自分のブランドを築くため、ウェブサイト、SNS、仕事の人脈作りに時間を割きましょう。あなたのオンライン上のイメージをプロらしく保ち、投稿内容を一貫させましょう。正式な教育を修了したり、副業として翻訳を行うなどから始め、それと同時に得意分野の仕事を探しましょう。ProZは、職探しにお勧めのウェブサイトです。より一般的な求人情報ウェブサイトには、FiverrやUpworkなどがあります。こういった最初の仕事の報酬は低いかもしれませんが、経験を積み、依頼者からの評価(理想的には高評価)を得ることにもつながります。 量より質 翻訳のキャリアに進む時には、正確な翻訳と丁寧な校正による高い基準を自らに設けることが必要です。これは、あなたが翻訳した訳文の校閲者がいる場合であってもです。高品質の仕事は、再依頼や新規の依頼につながり、仕事に満足した依頼者からの高評価につながります。世間でよく言われるように、最高の宣伝は口コミなのです。
旧正月とその祝い方
中華正月、旧正月、春節と異なる呼び方があるこの祝日は、世界で非常に広く祝われる祝日の一つです。旧暦(太陰暦)の最初の新月から最初の満月までの15日間続きます。旧暦は月の周期に基づくため、年ごとに日付が異なります。今年の旧正月は2022年2月1日です。旧正月はアジアのあらゆる地域で様々なお祝いの形がありますが、今回はその中でも中国、香港、台湾、そして世界中の華僑による特に大きなお祝いをご紹介します。 春節の準備 旧正月までの数日は、やることが多く慌ただしく過ぎていきます。清らかな状態で新年を迎えるために仕事の帳簿を正し、借りがあれば返済し、各家庭では大掃除を行い、文字通り悪運を取り払います。 家の大掃除には実質的な理由もあります。春節の最初の7日間は中国では祝日であり、多くの人が友人や親戚を訪ねて帰省します。この年に一度のイベントは、旅行者数のあまりの多さから世界最大規模の人間の大移動と呼ばれているほどです。この期間に訪問者を迎える家では、縁起の良い食べ物を出し、皆で乾杯して互いの新年が良い1年となるように願います。子供たちや独身者は赤い封筒に入ったお年玉をもらいます。 伝統と禁忌 街中では、悪霊を払うための獅子踊りや龍踊りなどの伝統舞踊のパレードで、より賑やかな雰囲気のお祝いが行われます。言い伝えによると、元旦にはニアンというが怪物が村に村人を食べにやってくるため、これを追い払うために人々は爆竹を鳴らし花火を打ち上げました。この習慣が現代でも残っています。 色々な祝い方がある一方、新しい年に幸運を呼び込むための迷信やしてはいけないことがいくつかあります。一つは、泣いたり言い争ったりせず、良いことや幸せなことだけを口にし、新年を何事もなく平和に迎えるようにすることです。ハサミや針を使うこと、髪の毛を切ることは、富や成功への道を断ち切ってしまうため良くないとされます。新年を迎える前には家を掃き清めますが、大晦日の後に掃き掃除はしてはいけません。幸運も一緒に家の外へ掃き出してしまうためです。 旧正月を祝う場所 中国、香港、台湾の他にも、旧正月を楽しむことができる場所は多くあります。北米では、アメリカのニューヨークやサンフランシスコ、カナダのトロントやバンクーバーなど、中華街のある大都市の多くでパレードやお祭りが開かれます。アジアの他の地域では、シンガポール、マレーシアのクアラルンプール、タイのバンコクなどで華やかなお祝いが行われます。どの街のお祭りに出向く時も、幸運を呼び込む色である赤を必ず身につけましょう。 あなたの国ではどのような新年のお祝いがありますか。下のコメント欄でぜひ教えてください。
日本の冬:四季のお祭り
原文(英語)著者:Mo Stone 日本といえば、春と秋の日本を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、冬の日本にもたくさんの見所があります。東京や京都など比較的大きな都市の多くは、冬の気候は穏やかで観光にも支障がありません。北海道や日本アルプスといった積雪地域には、多くのスキー・スノーボード客が訪れます。この他にも、全国のあちこちで冬のお祭りが開催されます。クリスマスやお正月、1年を通しての見所をご紹介します。 クリスマスのおすすめは長崎 日本のキリスト教徒の割合はわずかであり、日本でのクリスマスは商業的な祝日として人気があるものの、宗教的な祝日として広く祝われていません。本当の日本式クリスマスを体験するには、長崎を訪れることをおすすめします。長崎は日本の西部に位置し、16世紀にポルトガルから日本で最初にキリスト教が伝わった土地です。江戸時代には隠れキリシタンが弾圧を受けた土地でもあります。現在この美しい港町には、他のキリスト教徒の土地と比べて比較的多くの教会が存在しています。 当BT翻訳者の1人であるクリスは、クリスマスの時期に長崎を訪れたことがあり、その時の経験をこう語ります。「長崎の街全体にお祝いの雰囲気がありつつ穏やかで神聖さがありました。クリスマスイブのミサでは、教会に集まった人たちの強い一体感が感じられて、東京の教会では味わったことのないものでした」 さらに、この時期のイルミネーションがお好きな方には、長崎にあるオランダテーマパークのハウステンボスがおすすめです。ここでは毎年、クリスマスのイルミネーションやディスプレイが楽しめます。 新年は神社やお寺へ参拝 日本人は大晦日にパーティーで大騒ぎするということはありません。パーティーの代わりに、国内に数え切れないほどある神社や寺院へ参拝する「初詣」で、日本人式のお祝いをしてみませんか。初詣は新年最初に神社や寺院を参拝する慣習です。もっとも多くの人が初詣に訪れる日は1月1日ですが、有名な神社仏閣の人混みを避けたい場合は、1月1〜7日の間いつでもお参りできます。初詣は仏教の寺院でも神道の神社でも構いませんし、東京の大きく有名なものでも住宅街の小さなものでも構いません。初詣は日本国内すべての神社仏閣で行われます。 初詣では、その年が良い1年であるように祈ったり、お供え物をしたり、絵馬やお守りを購入したり、おみくじ(その年の吉凶を占うための紙くじ)を引いたりします。大晦日の仏教寺院では、お寺の除夜の鐘をつくことができるかもしれません。昔から、除夜の鐘は仏教で神聖な数とされる108回打ち鳴らされます。深夜に始まる除夜の鐘つきは、多くのお寺で参拝者が順番に参加することができます。 冬の間はイルミネーションを楽しむ 冬の間(11月頃から1月頃まで)、日本独特な光景を見ることができます。それは冬のミネーションです。この素晴らしい光のディスプレイは、街中の通りやショッピングセンターからテーマパークまで、様々な場所に現れます。とても華やかな光景で人気も高まっており、年々その華やかさや美しさは増しています。東京のミッドタウンや大阪の御堂筋通りなど、多くは無料で楽しむことができますが、栃木のあしかがフラワーパークなど、規模が大きく優れた施設の中には入園料がかかる場所もあります。冬のイルミネーションは、家族でのお出かけやロマンチックなデートにうってつけです。 あなたの国のあなたのお気に入りの冬のお祝いは何ですか。下のコメント欄でぜひ教えてください。
機械翻訳は人間の翻訳に取って代わるのか
原文(英語)著者:Mo Stone(モー・ストーン) 私たちの世界がますますグローバル化し、人と人との距離が縮まるにつれて、優れた正確な翻訳への重要はこれまで以上に高まっています。しかし、この需要増の要因である技術はまた、その解決策でもあります。機械翻訳がこれに当てはまります。現在、機械翻訳は翻訳業界で広く使用されており、「機械翻訳はいつか人による翻訳に取って代わるのではないか」という疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。今回はこれについて見ていきます。 機械翻訳とは何か 機械翻訳(Machine Translation=MT)は、人工知能を使い1つの言語からもう1つの言語へと即座に文字を翻訳します。驚かれるかもしれませんが、この技術はすでに数十年ほど前から存在していました。しかし、広く使われるようになったのはごく最近です。博士論文のテーマは機械翻訳だったというエリック・ニコルズ(Eric Nichols)さんは「(論文執筆時)当時は全く使い物になりませんでした」と言います。ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンのシニア研究者を務めるニコルズさんは「私の全体的な印象では、論文を書いた15年前と比べると、機械翻訳の品質はかなり向上しています」と言います。 質の向上はGoogle翻訳を見てもよく分かります。初期のGoogle翻訳の思わず笑ってしまう意味不明の翻訳を多くの人が覚えているでしょう。しかし、現在の機械翻訳技術は、外国語を学ぶ学生や旅行者が頼りにし、まずまずの結果を得られるほどのレベルにまで進化しています。ビジネスの観点からすると、機械翻訳は確かに魅力的であり、経費削減や生産性の向上につながります。低コストで瞬時の翻訳は誰もが望むものでしょう。 「機械翻訳」対「人間」 機械翻訳がこのように急速に進化したことにより、最近の翻訳業界全体には、人による翻訳は近い将来必要なくなってしまうのではないかという不安があります。「新しい技術が出てくるたびに、それが人間の仕事に取って代わるのではないかという恐怖はつきものです。そして、時にはそれが現実となります」と、ニコルズさんは言います。 しかし、機械では不可能な翻訳には検討の余地がまだ多くあります。機械は文脈から外れた言葉の理解、または語句がその文化に沿ったものであるかどうかの理解はできません。また、機械は様式や論調をつかむことはできず、別言語への翻訳の過程において、これらは失われてしまうかもしれません。人間の翻訳者は常に必要となるでしょう。それは、人間とMTと並行で業務を行うという形であるかもしれません。 「翻訳には2つの役割があると思います。1つ目は実際の翻訳作業、2つ目はその翻訳の正確性を保証することです。翻訳と聞くと1つ目の点だけを考える人は多く、2つ目の点は無視されがちです。現在は、人間の翻訳者の役目を機械翻訳で代用できる場面が多くあるように思えるかもしれませんし、これは翻訳作業そのものについてはそうかもしれません。しかし、品質保証にはバイリンガルの人間が必要です。そこに大きなお金やリスクが関わってくる限り、それが今すぐ変わるとは思いません」と、ニコルズさんは言います。 経費を下げるために品質を犠牲にすることを選ぶケチな依頼主は今後も存在するでしょう。しかし、翻訳の質が重視される限り、人間の翻訳者は今後も翻訳業界での雇用を見つけられるでしょう。 機械翻訳についてどう思われますか。ここに挙げられなかった点は何かあるでしょうか。下のコメントでぜひ教えてください。
翻訳スキルを磨く校正のアドバイス
原文(英語)著者:Mo Stone(モー・ストーン) どのような種類の翻訳や執筆も、最終段階は誰にでも憂鬱なもの。その最終段階とは校正です。この段階まで来てしまえば、ほとんどの人がすぐにでも納品したいと思っているはずです。校正のために時間を割くのは面倒だと。しかし、ほとんどのフリーランサーには校正者を雇うだけの余裕はないため、この最終段階のスキルの向上は必須です。あなたの校正スキルを上げ、最終的には時間を短縮し、周りと差をつけ依頼主にアピールするための貴重なアドバイスをご紹介します。 校正とは何か 校正は編集作業の一部ですが、コピーエディティングとは異なります。校正段階に来ているということは、あなた自身か他の誰かがすでに読み変更を加え、文章が整い明確である状態です。校正では、綴りや文法、書式などの誤りだけを見ていきます。 翻訳者が特に注意を払うべきところは句読点の一貫性です。句読点は言語間で異なります。馴染みのない名称や場所の綴りも同様です。単位は全て一貫していること、そして読者にふさわしい表記になっていることに気をつけます(アメリカ英語の読者であれば温度表記に華氏を使うなど)。 新鮮な目で確認 校正を行う時に大きな罠となりかねないのが、この段階であなたはすでに文章を何度か読んでいるため、読み飛ばしてしまう可能性が高く、誤りに気づかない恐れがあることです。幸い、新鮮な目で確認し間違いを見つける能力を高めるための方法がいくつかあります。 一度読み終えたら、もう一度読む前に必ず間隔を空けます。食事をしたり、散歩をしたり、他の仕事をした後で再び校正に戻ります。文字の見た目を変更することも、違った見方ができるため効果的で、今まで気付かなかったことに気付くのを助けてくれます。文章を書く人の中には、印刷した紙にペンを持って校正をすることに強く賛同する人は多いですが、プリンターの使用が不便な人には、文字のフォントや色を変えることも、文章が違った形で見えるようあなたの目に錯覚を起こさせるのに役立つ方法です。もう1つの実用的なアドバイスは、声に出して読むことや、それを録音して再生することです。あなたが書いた文章を耳で聞くことは、目で見過ごしてしまった誤りを見つけるのに役立ちます。 分割統治 校正作業そのものは、あなた自身が効率的にまとめ、何も抜けがないようにすべきです。綴りや句読点、日付や数字など様々なチェック項目のリストを作り、1回読むごとに1項目ずつ確認していきます。細部のみに集中するためのもう1つの良い方法は、文章を最後から読むことです。変わったアイディアだと思われるかもしれませんが、最後から読むことは文章を文脈から切り離して読むことなので、語句そのものだけに集中することを余儀なくされます。 可能であれば、友人や同僚の協力を得て文章を読んでもらいます。全ての状況でこれが可能かというと、そうではないことは皆が分かっていることですが、1人よりも2人で確認する方が確実に良いですし、あなたが見過ごした箇所に気付いてもらえる確率は高いです。 校正についてどう思われましたか。ここに追加すべきアドバイスは何かありますか。下のコメントでぜひ教えてください。
あなたにぴったりの特化翻訳
原文(英語)著者:Mo Stone(モー・ストーン) 技術とグローバル化により世界がさらに近くなるにつれ、翻訳サービスの需要は高まり続け、様々な種類の翻訳の必要性も大きくなり続けています。競争に勝ち抜くために業界の数多いニッチの中から1つの専門を持つことは、翻訳者にとって良いアイディアだと言えます。では何を選べば良いのでしょうか。この記事では翻訳の主な分野とそれぞれに必要な技術、そして急成長部門をいくつか取り上げ説明していきます。 文学翻訳:言葉に長けた人向け 翻訳と聞いて最初に思いつくのが文学翻訳かもしれません。名前が意味するように、文学翻訳とは小説、物語、詩、演劇など書物の翻訳です。文学翻訳は翻訳業界の中でも高収入が得られる分野の1つですが、当然ながら非常に難しい分野の1つでもあります。文学翻訳者は言葉だけではなく、言葉の背景や感情、原語と訳語の文化の違いにも注意を払う必要があります。文学翻訳者として成功するには、創造力があり、細部にまで気を配ることができ、そして訳語での執筆に長けていることが必要です。 映像翻訳:ビデオマニアやゲーマー向け 膨大な量のオンライン配信コンテンツにより、映像翻訳の需要が高まっています。これは字幕、ビデオゲーム、その他話し言葉から書き言葉への翻訳を必要とする媒体の翻訳です。映像翻訳者は高い言語能力に加え、音声映像制作に関する深い知識、そして字幕ソフトウェアなどのソフトウェアやツールに精通していることが必要です。 ソフトウェアの地域化:Webを得意とする人向け オンラインの世界において、ソフトウェアの地域化は需要が増えている翻訳分野です。この種を専門とする翻訳者は、ソフトウェアやウェブサイトを世界中のユーザーのために各地域の言語に対応させます。ソフトウェアの地域化は非常に技術的であり、ソフトウェアやツールに精通していることが要求されます。また深い文化的知識も必要であり、さらには翻訳の過程で、ブランドやウェブサイトのメッセージが改ざんされないようにすることも必要です。 技術翻訳:几帳面な人向け 国際化し海外進出のために翻訳サービスを必要とする企業がますます増えるなか、技術翻訳は現在でも業界の多くを占める分野です。技術翻訳者は研修資料、取扱説明書、製品仕様などの書面を取り扱います。この分野の翻訳は、高いレベルの正確性を必要とし、また時には科学や工学などの特定の業界の知識が必要となります。さらに技術翻訳者は、図や表に含まれる文字の翻訳を行うことも多いため、書式の細部まで気を配ることが要求されます。 専門翻訳:特殊な知識を持つ人向け 地域の文化や専門用語の予備知識が要求される翻訳分野もあります。例えば法律翻訳や医療翻訳などです。専門性とともに、正確性は非常に重要です。間違いは大きな犠牲や危険につながることにもなりかねないからです。その一方で、正しい技術を持っていれば、専門翻訳は利益の高い分野となりえます。 あなたが一番興味を持った翻訳は、どの専門分野でしたか。この記事に取り上げられなかった分野は何かあるでしょうか。下記コメントでぜひ教えてください。
Legacy Foundation JapanによるBTインタビュー
原文(英語)著者:Mo Stone ボーダレス・トランスレーションズ(BT)は、拠点である東京とウェブ上のコミュニティグループや企業とのつながりを誇りにしています。BT創立者のMcIsiah Kendema氏は先日、レガシー・ファンデーション・ジャパンのAlison Rodgers氏のインタビューを受け、日本の黒人コミュニティの仲間、大好きな日本のポップカルチャーへの思い、そして翻訳業界とその中でのBTの役割について語りました。レガシー・ファンデーション・ジャパンは、日本の黒人コミュニティをつなぎ、さらにその輪を広げることで、アフリカ系アメリカ人とその文化を支えることに努めています。以下はインタビュー記事(英語)の日本語訳です。原文を読むにはこちらをクリックしてください。 ビジネスメンバーのMcIsiah Kendema氏をご紹介します。Kendema氏は、創作的文章とデジタルコンテンツを専門に翻訳とローカライゼーションを行う会社、ボーダレス・トランスレーションズ(BT)を創立しました。BTで取り扱う言語は英語、日本語、スペイン語です。 拠点はどこですか。 日本の川崎に住んでいます。東京都心から20分ほどの所です。 レガシー・ファンデーション・ジャパンに興味を持たれた理由は何ですか。 私の地元であるミネアポリスでジョージ・フロイドが亡くなったとき、私の家族や友人が危険にさらされているのを見るのは辛いことでした。よく通っていた場所が焼け落ち、でも私は日本にいて何もできませんでした。日本の黒人コミュニティのつながりが必要だと感じ、皆が集まれるようにブラック・イン・ジャパンというFacebookグループを立ち上げました。日本に住むアフリカ系移民のためのグループです。実際のところ、このように感じていたのは私だけではなく、連絡を下さった方々の1人が、メンバーシップディレクターのAlison Rodgersさんでした。彼女の紹介でレガシー・ファンデーション・ジャパンを知りました。 日本とはどのような関係があったのですか。 アニメ、漫画、ビデオゲームといった日本のポップカルチャーにはずっと興味がありました。学校から帰ると、ドラゴンボーZやセーラームーン、ガンダムWなどを見て、友達と遊戯王カードを集めて遊びました。子供時代のとても良い思い出です。 一番好きなゲーム会社はスクウェア・エニックス(Square Enix)で、一番好きなゲームはファイナルファンタジーIXです。ゲーム業界で働きたいと思い、またいずれは日本へ行きたいと思っていました。実際にゲーム業界の数社に勤めました。アクティビジョン(Activision Publishing)では、技術的要件への準拠を確認するテスターとして、その後、ネイティブエックス(Nativex)では、事業開発コンサルタントとして3ヶ月日本に滞在することになりました。この最初の滞在で日本の虜になりました。 BTについて教えてください。 会社名はボーダーレス・トランスレーション(BT)といいます。コミュニティの必要性に応えながら、往々にして翻訳で失われてしまうものの原因を取り除く会社にしたいと思っています。 当社ではあらゆるご要望に対応可能ですが、これまではエンターテイメント業界からの依頼が主なものとなっています。これまでに受けた2つの大型プロジェクトは、テレビ番組のパイロット版の日本語から英語への翻訳と、あらすじやピッチデッキなどの追加資料の作成です。依頼主は今年ネットフリックスに企画提案する予定なので、上手くいくことを願っています。 2つ目のプロジェクトは、レガシー・ファンデーション・ジャパンのメンバーであるHouston Ross氏がデザインしたウェブサイトPlayaz4Playaz(P4P)の翻訳でした。P4Pは、写真日記やライブ配信を通してアスリートとそのファンをつなぐウェブサイトです。ファンはアスリートの舞台裏を覗くことができます。 翻訳業界に進もうと思ったきっかけは何ですか。 フリーランスとして仕事を探していたとき、翻訳をしている友人の1人が起業を勧めてくれました。私は人付き合いが得意だからと。それで、区の経済支援センターを訪れることにしたのです。このセンターでは、登録方法を指導してくださり、申請費用の免除までしてくださいました。これまで順調に進んでいます。 当社の利益を、ビデオゲーム開発や脚本の執筆といった自分の創造的なプロジェクトに投資したいと考えています。 翻訳業界に入ろうとしている人に対して何かアドバイスはありますか。 自分を励まし良い方向へと推し進めてくれる友人の言うことを聞くことです。最初は1人の依頼者でいいのです。仕事がない日であっても、日々言語力を磨くことを怠らないでください。本を読むだけでは不十分です。新しい人と出会って話すことが必要です。言語の底にある文化を理解することが必要です。他にも何か質問があれば、いつでもお受けします。また、一緒に仕事をすることに興味がある方も、ぜひご連絡ください。
フリーランサーからフリーランサーへのアドバイスとヒント
原文(英語)著者:Mo Stone(モー・ストーン) 大学で言語を勉強したので、やはり翻訳者になろうと考えている人。翻訳会社に勤めていて独立したいと考えている人。もしくは、ライターのかたわら言語力を生かした仕事をしてきたものの、その副業を本業にすべきかと考えている人。そんな皆さんには「フリーランスになるべきか」という重大な質問があると思います。 フリーランス翻訳者の生活がどのようなものなのか、そしてフリーランスとして働き始めたばかりの人へのアドバイスやヒントなどについて、Borderless Translation翻訳者のクリスを始め、東京を拠点とする3人の翻訳者に尋ねました。 フリーランスとして働き始める。 フリーランサーの多くは、最初からフリーランスとして働くことを望んでいたわけではなく、自然とフリーランスになったという人がほとんどです。「最初に受けた翻訳の仕事がどんな仕事だったかも覚えていませんが、バイリンガルのライターであると言うと『だったら翻訳もできますか』と聞かれることが多いです。最初に受けた仕事は主に執筆の依頼だったのですが、私に言語スキルがあることを知っていた顧客に、翻訳の仕事も依頼されました」と話すのは、Florentyna Leow(フロレンティーナ・リオ)さんです。クリスのように非正規社員として異なる会社に勤めた後、フリーランスになる翻訳者もいます。Alex Fisher(アレックス・フィッシャー)さんは、副業としていた翻訳をフリーランスで行うことを決めましたが、最初の顧客を獲得することが一番大変なことだと分かっていました。「たくさんの履歴書を書いて送りましたが、返答があったのは1社のみでした。でも結局は、それで十分だったのです。その顧客は、現在でも私の仕事の土台となっています」とフィッシャーさんは話します。 柔軟性と自由度 フリーランス生活の利点と言えば、多くの人が真っ先に思いつく大きな点が柔軟性です。今回取り上げるフリーランサーたちも、スケジュールや作業場所、引き受ける仕事の内容などに対する自由を満喫しています。「他の誰かの夢のために働くのではなく、誰とどうやって仕事をしていくかを自分で決めることができます。私は興味の対象が多いのですが、フリーランスであるからこそ、自分が興味ある分野の仕事を選択できます」とリオさんは話します。この他の利点として、自分の仕事に対する責任感とプライドを持てること、そして満員の電車やバスによる通勤をしなくてもよいことなどが挙げられました。 1人仕事の大変さ しかし、自分自身に裁量があることには、良い面もあれば悪い面もあります。「全責任が他の誰でもなく自分にあります。フリーランサーは基本的に従業員1人の会社です。今までは何人かで担当していた仕事を、すべて自分1人で行わないといけません。私は自分で会計処理をしますが、それと同時に仕事探し、自分の売り込み、フリーランサーとしてやっていくための具体的な調整などのすべてを自分で行わないといけません」とリオさんは話します。クリスにとって、仕事の不安定さとそれに伴う仕事と生活の両立が課題となりえます。「仕事をお断りするのは大きなストレスなので、スケジュールが過密な時でもお引き受けし、結果的に膨大な仕事量となってしまうこともあります」とクリスは話します。 フィッシャーさんは、別の面での両立の困難も感じています。「顧客とフリーランサーの力のバランスは、常に難しい問題だと思います。フリーランサーとして顧客の満足度を保つために、自分はどこまですべきか。『お金は時に高すぎる』と言った友達がいましたが、この言葉はとても役に立ちました」とフィッシャーさんは言話します。 フリーランサーからのアドバイス フリーランサーとして成功するための鍵は、整理整頓です。重要な作業や納期をきっちり把握するために手書きのリストを用意する、スプレッドシートやカレンダー、リマインダーアプリなどのソフトウェアツールを活用するなど、それぞれの翻訳者にお気に入りの方法があります。顧客を探す方法としては、多くの仕事が翻訳会社またはオンライン求人情報サイト(フィッシャーさんおすすめのサイトはこちらproz.com)を通して得られます。しかし、口コミの力も侮れません。「私は売り込みが得意な方ではありませんし、積極的に新しい仕事を掴もうとしているわけでもありません。自分の仕事の出来を見て判断してもらう方が良いと思っています。納期を守って良い仕事をすることはもちろん、一緒に仕事をしやすいことは、顧客が新しい顧客を紹介してくださることにつながるようです」とリオさんは話します。 最後に、ここで取り上げたフリーランサーに、フリーランス翻訳者を始めようとする人に対して何かアドバイスはないかを尋ねました。「まずスキルを身につけ、できればコネクションをいくつか築いてからフリーランスに転向する。焦って始めることはないと思います」とクリスは話します。フィッシャーさんは、これに賛同した上で「両足でいきなり飛び込むのではなく、副業として始めてそこから広げていくことをおすすめします。毎月の家賃の支払いを心配することなく、どうすれば上手くいくのか、自分のニッチは何かなどを探るために、試しながら始めるのがいいと思います」と付け加えます。 最後にリオさんからのアドバイスはこうです。「領収書は全て保管しましょう。そして、親切で一緒に働きやすい翻訳者になること、人に利用されないようにすること、他のフリーランサーと親しくなり、できる時に恩送りすること」。どの業界に通用する素晴らしいアドバイスですね。