原文(英語)著者:Mo Stone(モー・ストーン) 大学で言語を勉強したので、やはり翻訳者になろうと考えている人。翻訳会社に勤めていて独立したいと考えている人。もしくは、ライターのかたわら言語力を生かした仕事をしてきたものの、その副業を本業にすべきかと考えている人。そんな皆さんには「フリーランスになるべきか」という重大な質問があると思います。 フリーランス翻訳者の生活がどのようなものなのか、そしてフリーランスとして働き始めたばかりの人へのアドバイスやヒントなどについて、Borderless Translation翻訳者のクリスを始め、東京を拠点とする3人の翻訳者に尋ねました。 フリーランスとして働き始める。 フリーランサーの多くは、最初からフリーランスとして働くことを望んでいたわけではなく、自然とフリーランスになったという人がほとんどです。「最初に受けた翻訳の仕事がどんな仕事だったかも覚えていませんが、バイリンガルのライターであると言うと『だったら翻訳もできますか』と聞かれることが多いです。最初に受けた仕事は主に執筆の依頼だったのですが、私に言語スキルがあることを知っていた顧客に、翻訳の仕事も依頼されました」と話すのは、Florentyna Leow(フロレンティーナ・リオ)さんです。クリスのように非正規社員として異なる会社に勤めた後、フリーランスになる翻訳者もいます。Alex Fisher(アレックス・フィッシャー)さんは、副業としていた翻訳をフリーランスで行うことを決めましたが、最初の顧客を獲得することが一番大変なことだと分かっていました。「たくさんの履歴書を書いて送りましたが、返答があったのは1社のみでした。でも結局は、それで十分だったのです。その顧客は、現在でも私の仕事の土台となっています」とフィッシャーさんは話します。 柔軟性と自由度 フリーランス生活の利点と言えば、多くの人が真っ先に思いつく大きな点が柔軟性です。今回取り上げるフリーランサーたちも、スケジュールや作業場所、引き受ける仕事の内容などに対する自由を満喫しています。「他の誰かの夢のために働くのではなく、誰とどうやって仕事をしていくかを自分で決めることができます。私は興味の対象が多いのですが、フリーランスであるからこそ、自分が興味ある分野の仕事を選択できます」とリオさんは話します。この他の利点として、自分の仕事に対する責任感とプライドを持てること、そして満員の電車やバスによる通勤をしなくてもよいことなどが挙げられました。 1人仕事の大変さ しかし、自分自身に裁量があることには、良い面もあれば悪い面もあります。「全責任が他の誰でもなく自分にあります。フリーランサーは基本的に従業員1人の会社です。今までは何人かで担当していた仕事を、すべて自分1人で行わないといけません。私は自分で会計処理をしますが、それと同時に仕事探し、自分の売り込み、フリーランサーとしてやっていくための具体的な調整などのすべてを自分で行わないといけません」とリオさんは話します。クリスにとって、仕事の不安定さとそれに伴う仕事と生活の両立が課題となりえます。「仕事をお断りするのは大きなストレスなので、スケジュールが過密な時でもお引き受けし、結果的に膨大な仕事量となってしまうこともあります」とクリスは話します。 フィッシャーさんは、別の面での両立の困難も感じています。「顧客とフリーランサーの力のバランスは、常に難しい問題だと思います。フリーランサーとして顧客の満足度を保つために、自分はどこまですべきか。『お金は時に高すぎる』と言った友達がいましたが、この言葉はとても役に立ちました」とフィッシャーさんは言話します。 フリーランサーからのアドバイス フリーランサーとして成功するための鍵は、整理整頓です。重要な作業や納期をきっちり把握するために手書きのリストを用意する、スプレッドシートやカレンダー、リマインダーアプリなどのソフトウェアツールを活用するなど、それぞれの翻訳者にお気に入りの方法があります。顧客を探す方法としては、多くの仕事が翻訳会社またはオンライン求人情報サイト(フィッシャーさんおすすめのサイトはこちらproz.com)を通して得られます。しかし、口コミの力も侮れません。「私は売り込みが得意な方ではありませんし、積極的に新しい仕事を掴もうとしているわけでもありません。自分の仕事の出来を見て判断してもらう方が良いと思っています。納期を守って良い仕事をすることはもちろん、一緒に仕事をしやすいことは、顧客が新しい顧客を紹介してくださることにつながるようです」とリオさんは話します。 最後に、ここで取り上げたフリーランサーに、フリーランス翻訳者を始めようとする人に対して何かアドバイスはないかを尋ねました。「まずスキルを身につけ、できればコネクションをいくつか築いてからフリーランスに転向する。焦って始めることはないと思います」とクリスは話します。フィッシャーさんは、これに賛同した上で「両足でいきなり飛び込むのではなく、副業として始めてそこから広げていくことをおすすめします。毎月の家賃の支払いを心配することなく、どうすれば上手くいくのか、自分のニッチは何かなどを探るために、試しながら始めるのがいいと思います」と付け加えます。 最後にリオさんからのアドバイスはこうです。「領収書は全て保管しましょう。そして、親切で一緒に働きやすい翻訳者になること、人に利用されないようにすること、他のフリーランサーと親しくなり、できる時に恩送りすること」。どの業界に通用する素晴らしいアドバイスですね。
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世界のハロウィン
原文(英語)著者:Mo Stone(モー・ストーン) 涼しい季節になってくると、10月の終わりにやってくる楽しみなお祭りがあります。ハロウィンです。現代では人気が高い、この「イタズラとお菓子」の楽しいお祭りは、どこで始まったのでしょうか。そして、一体どこでコスチュームに着替えたらよいのでしょうか。ここでは、この誰もが愛する不気味なお祝いについて紹介していきます。 サウィン祭とアイルランド:ハロウィンの始まり ハロウィンは実は非常に古い祝日であり、アイルランドとスコットランド発祥の古代ケルトの祭りであるサウィン祭がその始まりです。これは収穫期の終わりを祝い、暗く冷たい季節の始まりを迎える祭りです。年に一度この夜、亡くなった人の魂が実世界へ渡ってくることができると信じられていました。人々は闇を退けるために火を焚き、悪い魂を混乱させ追いやるために仮装し、ジャック・オー・ランタンを作りました。「トリック・オア・トリート(お菓子をくれなきゃイタズラするぞ)」の慣習も、サウィン祭が始まりです。当時は、祭りを騒ぎ楽しむ人たちが家から家を訪ね、食べ物と引き換えに詩を詠みました。エディンバラやダブリンは、現在でも大きなお祭りが一部残っている土地であり、今日の旅行者も現地を訪れてサウィン祭を体験することができます。 アイルランドでも、進化し他の伝統が加わったハロウィンが全国的に祝われます。アイルランドのハロウィンは、イタズラと占いが大きな特徴です。子供たちは、近所の家の扉をノックして走って逃げるというイタズラをし、自分のバームブラック(伝統的なフルーツケーキ)の中に指輪を見つけると、もうすぐ結婚するという言い伝えがあります。 アメリカの伝統と現代の解釈 米国では、19世紀までハロウィンは一般的な祝日ではありませんでした。しかし、アイルランドとスコットランドからの移民が急増すると急速に広まっていきます。今日では、世界中の多くの人がアメリカの伝統やアメリカのメディアで取り上げられる様子を見て、ハロウィンについて知っています。広く普及しているハロウィンは、このアメリカのバージョンです。 米国のハロウィンは、無邪気な薄気味悪い楽しさをみんなで味わう日です。子供たちは仮装して近所にトリック・オア・トリーティングに行き、お菓子をもらうのが普通です。大人はパーティーを開いたり、お化け屋敷、ホラー映画の上映会、仮面ダンスパーティーなどのイベントに出かけたりします。現在のハロウィンは、かなり商業的な祝日となったことは事実で、アメリカ人が多くのお金を費やす祝日の1つでもあります。アメリカ国内のあちらこちらで思い出に残るハロウィンを体験することができます。例として、悪名高い魔女裁判が行われた土地である、マサチューセッツ州セイラム、アメリカで1番のゲイの夜の街である、カリフォルニア州ウェストハリウッドの有名なストリート・フェア、アメリカのブードゥー教の故郷である、ニューオーリンズなどが挙げられます。 最近では、伝統的にハロウィンを祝う習慣がなかったフランスやドイツなどの多くの国で、アメリカ流のハロウィンが普及しています。日本では、東京で大人が仮装して集まる日として定着しています。ルーマニアのトランシルバニアでは、あの有名な不気味な話を上手く利用し、ドラキュラやハロウィンをテーマにしたツアーやパーティーが開かれます。 Día de Los Muerto(死者の日):死者を祝うメキシコの祭り しかし、これらハロウィンのお祭りは、どれもDía de Los Muertos(死者の日)の前には色あせて見えます。「死者の日」は、メキシコ、ラテンアメリカ、スペインで死者を祝って行われる、3日間に渡るお祭りです。10月31日には、亡くなった人の魂がこの世の家に帰ってくると信じられています。彼らをたたえるため、人々は家の中や職場に祭壇を作り、そこに花、菓子、写真、死者が生前好んでいた食べ物やアクセサリーなどをたくさんお供えします。 祭りの期間中は、どんなに小さな町も、パーティーやご馳走、音楽や踊りで、生き生きと華やかな雰囲気となります。ガイコツの格好をした人々の色鮮やかなパレードや、伝統的な音楽のマリアッチを奏でるバンドでさらに興奮が高まります。11月2日になると、人々は親類の墓に集まり参拝します。祭り全体が死者のために行われるものであり、中には薄気味悪い見た目の表現もある一方で、この祭りは結局のところ、命を祝い、先祖への敬意を表す手段なのです。 あなたはハロウィンを祝いますか。この魔法がかったお祭りを祝う、あなたのお気に入りの方法があれば、ぜひ下のコメント欄で教えてください。
当社翻訳者おすすめのアプリとソフトウェア
現代技術により、今日の翻訳者は、作業のスピードと正確性を高め、生産性と効率を向上させるためのありとあらゆるツールの利用が可能です。では何を選べばよいのでしょうか。ここでは、Borderless Translationの翻訳者が選ぶ、おすすめのツールをご紹介します。 無料のWebツール DeepL Google翻訳と同じく機会翻訳ツールであるDeepLは、正確な翻訳を提供し、フリーランス翻訳者の間で人気の高いツールです。無料のオンライン翻訳は誰でも利用可能ですが、文字数無制限の翻訳機能などを使う場合や、機密度の高いデータを扱うユーザーは、DeepL Proへのアップグレードが必要です。Pro版は30日間の無料トライアル期間があり、その後の費用は「Starter」プランが月々750円*、「Advanced」プランが2,500円*となります。DeepLのご利用はこちらから。*年払い価格 Smartcat クラウドベース翻訳ソフトウェアの中でもとくに人気の高いSmartcatのサービスは、コンピュータ翻訳のみにとどまりません。翻訳者と編集者がリアルタイムで共同作業を行うプラットフォームとしても利用でき、フリーランサー向けとして業界最大市場を誇ります。作業担当者への支払いは、Smartcatを通して直接管理されます。さらに、Smartcatのコンピュータ翻訳支援(CAT)ツールと翻訳管理システム(TMS)は強力で使い勝手が良く、そして何よりも無料です。Smartcatのご利用はこちらから。 業界標準 Trados Studio デスクトップ翻訳ツールの中で、翻訳者なら誰もが真っ先に名前をあげるのが、Trados Studioです。多くの企業や翻訳会社から業界標準とされる、Trados Studioの「完璧な翻訳ツールキット」には、翻訳メモリ(TM)技術、予測入力機能、機械翻訳などが含まれ、いずれもスピード、正確性、生産性の向上に役立ちます。新しいクラウドサービスのTrados Liveでは最新版の利用が可能です。Trados Studiosは値段が比較的高めなものの、フリーランサーと企業の両者に向け、多くの製品と幅広い価格帯を提供しています。登録者専用サービスや無料トライアルもあります。お求めのものが何であれ、お探しのオプションはTradosで見つかるはずです。Tradosのご利用はこちらから。 memoQ Trados Studioの最大のライバルであるmemoQもまた、効率的な翻訳とローカライゼーションのための強力な機能を備えており、企業とフリーランサーの両者から利用されています。ライフサイエンス翻訳やゲーム・オーディオビジュアル翻訳など、幅広い業界へソリューションを提供する多種多様な製品やサービスが揃っています。フリーランサーには「memoQ translator pro」が便利です。これはCATツールであると同時に、30ヶ国語を超える言語のディクテーション支援ツールでもあります。Trados Studioと同じく、プランや価格に多くのオプションがあります。価格は770米ドル、無料トライアルもあります。memoQ無料トライアルはこちらから。 The Wildcard Microsoft Excel 最後におすすめするのはMicrosoft Excelです。これはユーザーの意表をつくかもしれませんが、有名企業によるこのツールは、日本国内のゲーム企業の間で翻訳のために広く利用されています。Excelのスプレッドシートを使うことで、チームでプロジェクトをまとめ、原文と並びで簡単に翻訳を見ることができ、全員が理解していることを確認できます。数多くの企業から生産性ツールとして長い間その価値を認められてきた有名なソフトウェアであるExcelが、翻訳においても活躍していることは驚くことではないのかもしれません。 当社おすすめの翻訳ツールは、翻訳者のあらゆるニーズに応えてくれるでしょう。あなたのお気に入れはどれですか。他にもおすすめツールがあるでしょうか。下記コメント欄でぜひ教えてください。
ラテンアメリカのスペイン語とカスティーリャ・スペイン語、どちらを学ぶべきか。
新しい言語を学ぶ理由は様々です。世界中でとくに広く使われている言語の1つであるスペイン語を学ぶ人が増えています。では、スペインで使われているカスティーリャ・スペイン語と、南北アメリカで使われているラテンアメリカのスペイン語のどちらを学べばよいのでしょうか。ここでは、この主な2つの方言の違いをご紹介します。 スペイン語にいろいろな方言がある理由 ラテン語に起源を持ちアラビア語の影響も受けているスペイン語は、最も広く使われているロマンス語であり、世界中に多くの話者がいます。現在のスペイン語は、11世紀にイベリア半島で形成されたカスティーリャ語に由来しています。カスティーリャ語は、1492年にフェルナンド2世とイサベル1世(カトリック両王)によりスペインの公用語に指定されました。スペイン語の最初の教科書が書かれたのもこの時です。 それならやはり、学ぶべきは最初のスペイン語であるカスティーリャ・スペイン語かというと、そうとも言えません。フェルナンド2世とイサベル1世の時代の後、スペイン語の歴史はより複雑になっていきます。16世紀のスペインによる領地拡大および植民地化政策の結果、メキシコ、中米全ての国、南米のほとんどの国、キューバなど数カ国の島国、アフリカの赤道ギニアなど、今日20カ国がスペイン語を公用語としています。アメリカ合衆国には、同国内への移住者の影響で今日多くのスペイン語話者が存在します。 スペイン語を使用する国が多くあるということは、スペイン語には数多くの方言があることを意味し、またそれぞれの方言は大きく異なっています。スペイン語を学ぶ人にとって幸いなことに、これら方言のほとんどは互いに理解することができ、そのうちカスティーリャ・スペイン語とラテンアメリカのスペイン語の2つは広く教えられています。 カスティーリャ・スペイン語とラテンアメリカのスペイン語との違い では、この2つの方言の違いは何でしょうか。最も顕著な違いは発音にあります。ヨーロッパのスペイン語話者は、「e」または「i」の前にくる「c」「s」「z」を「/θ/」(例:「thing」の「th」)と発音しますが、ラテンアメリカでは、これを「/s/」または「/z/」と発音します。この他にも、例えばアルゼンチンなど、カスティーリャ・スペイン語と特徴的に異なる音を持つラテンアメリカの方言もあります。文法上で重要な相違点は、かしこまった言い方をする場合の2人称です。ヨーロッパのスペイン語では、2人称複数を表す場合、くだけた表現の「ustedes」と、かしこまった表現の「vosotros」という2つの表現がありますが、南北アメリカ全域ではどちらの場合も「ustedes」を使います。 最終的にどちらのスペイン語を学ぶべきかは、あなた次第です。スペインを旅しそこに暮らしたいと夢見る人や、フラメンコなどのスペイン文化に興味がある人は、カスティーリャ・スペイン語を学ぶとよいでしょう。しかし、スペイン語を学ぶ多くの人にとってどちらがより役に立つかというと、アメリカ合衆国を含む南北アメリカ全域でより広く使われている、ラテンアメリカのスペイン語かもしれません。さらに注意したい点は、ラテンアメリカの方言は、ほとんどの場合互いに理解することができるものの、アクセントや語彙は大きく異なる点です。アルゼンチンでワインを嗜みタンゴを踊りたいのであれば、アルゼンチンの方言(リオプラテンセ・スペイン語)を学ぶとよいでしょう。 学ぶ準備ができたら、さっそく始めましょう。 どの方言を学ぶかを決めたら、さっそく学習を始めましょう。幸い、スマホやパソコンを使って言語を学ぶことができるアプリやプラットフォームは、山のように存在します。Lingodeer(リンゴディア)、Memrise(メムライズ)、Rosetta Stone(ロゼッタストーン)など人気が高いもののほとんどが、カスティーリャ・スペイン語とラテンアメリカ・スペイン語両方の学習を提供しています。カスティーリャ・スペイン語を学ぶのにお勧めのアプリは、Mondly(モンドリー)、Busuu(ブースー)、Duolingo(デュオリンゴ)です。Rocket Spanish(ロケット・スパニッシュ)、またはPimsleur(ピンズラー)のメキシコ・スペイン語コースで、ラテンアメリカのスペイン語のレベルをチェックしてみてもよいでしょう。ぜひ楽しく学んでください。