マンガの世界から国境をなくす:コフィ・バゼル=スミスさんと実施したRITと日本マンガ塾によるパイロットプログラムの舞台裏

優れたストーリーには、国境や言葉の壁を越えて、人々をより大きな世界へと引き込む力があります。

RIT(ロチェスター工科大学)と日本マンガ塾日本マンガ塾によるプロのマンガ家とのマンガ研修パイロットプログラム3日目、私は東京の中心でまさに一つのストーリーに命が吹き込まれる瞬間に立ち会いました。

今回の4日間のワークショップは、アーティストでもあり教育者でもあり、アメリカで初のマンガ実技の教授でもあるコフィ・バゼル=スミス氏の主導のもと開催されました。ロチェスター工科大学(RIT)の学生の中から選び抜かれた18名の精鋭が、日本で最も評価の高いマンガの専門学校で、厳しくも実践的かつ集中して取り組める環境での学びを体験しました。

日本マンガ塾の教室内は、しっかり集中できるような条件が整っていました。スマートフォンの電源はオフ、パソコンやタブレットはしまわれて、出ているのは鉛筆とインクだけ。教室中に満ちていたのは、創造力と共にマンガに対する敬意でした。壁にはマンガでいっぱいの本棚や、キャラクタースケッチの額縁、アニメのフィギュアが並び、学生たちは個性あふれる髪型やTシャツ、スニーカーなどで自らの創造性を体現していて、ただの教室ではなく、文化の交差点のような場所になっていました。

若いアーティストたちが、マンガの技術だけでなく、日本語や日本文化、そして芸術に取り組む上での規律ある姿勢を、深く理解できるようになることが今回の目的です。

マンガワークショップの真の目的 ― 才能を育み、文化の壁を越える

マンガワークショップでは、実際に手を動かす実践的な取り組みが多く取り入れられていました。初めに全体説明と、野球マンガを専門とする岩澤先生の紹介が行われた後、学生たちはすぐに1対1の個別相談に入りました。

「数週間前から準備をしてきました」とコフィ氏は語ります。

「学生一人ひとりが相談用に質問を3つ提出し、それを私が日本語に翻訳して事前に学校へ送っておきました。今回の体験を、ただの学びではなく、先生と学生が共に取り組む場にしたかったんです。」

「共に取り組む」というこの姿勢は、単なる授業にとどまらず、広く活動全体に反映されていました。今回のバイリンガル・多文化体験を支えたのが、東京を拠点とする通訳・翻訳エージェンシー「ボーダーレス・トランスレーションズ(代表:マック・ケンデマ氏)」です。マック氏のチームは、ワークショップ全体を通して日本語から英語への通訳を担当し、すべてのやり取りがスムーズで丁寧に、そして正確に伝わるようサポートしました。

学生たちは、わずか数日間で4ページのマンガを完成させました。中には5〜6ページ分を完成させた学生もいました。キャラクターの成長や物語の構成を練り直し、視覚的な表現力を磨きながら、ベテランのプロのマンガ家たちから的確で実践的なフィードバックを受けていました。「このレベルになると、フィードバックは本当に具体的になります」とコフィ氏は語ります。「彼らはすでにプロ並みの画力を持っています。私のクラスに応募してきた中から、私が18人を厳選しました。ここまで技術が高くなると、指導は“どう描くか”ではなく、“どう表現するか”に変わってくるんです。」

けれど、この体験で本当に大きな影響を与えたのは、技術的な面ではなく、文化的な要素だったのかもしれません。

学生一人ひとりに、日本人の会話パートナーが2人ずつ付きました。

学生たちは日本語の練習をし、自己紹介の仕方を学び、アートと同じくらい言語にも深く入り込んでいきました。

「私は、ただマンガの描き方を教えているわけではありません」とコフィ氏は言います。

「私は、日本語と日本文化という視点を通してマンガを教えています。だからこそ、国境を越えるマンガになるんです。」

日米の創作の現場を越えて ― 国境なきマンガの挑戦

日本文化に根ざしたアメリカ人マンガ家という、他にない立場にあるコフィ氏の視点は、創作の世界を読み解くうえで非常に興味深いものがあります。アメリカでは、コミックはアカデミックな評価を得づらく、美術教育の主流は西ヨーロッパ寄りです。

「私の土台はずっとマンガでした。マンガは5歳の頃からずっと描いていました。28歳で美大に入り直して、そこで初めてイタリア美術やフランス美術、そしてディエゴ・リベラやフリーダ・カーロを知りました。それは、まるで逆カルチャーショックのような感覚でした」と彼は語ります。

一方、日本では、コフィ氏の日本語力が大きな強みとなり、著名なマンガ関連の機関や学校とつながり、良好なパートナーシップを築くことができました。「日本では、言葉や文化を時間をかけて学ぼうとする姿勢があれば、本当に敬意を持って接してくれるんです」と彼は語ります。コフィ氏が最終的に目指しているのは、マンガを本当に“国境のないもの”にすること。それは、単に描き方を教えるのではなく、学生たちが日本文化の中に身を置くことで実現できるのです。

夢の実現 ― グローバル・マンガ・アカデミー、始動

コフィ氏にとって、この瞬間は、何年もかけて積み上げてきた夢の結晶でした。それは、個人的でありながらも、あきらめずに追い続けてきた強い思いの集大成でもあります。「アメリカには、マンガの作り方を本格的に学べる場所なんてないんです」と彼は語り、こうしたプログラムの必要性を強調します。アメリカで初めて“マンガ実技”の教授となるまでには、日本の芸術を何年もかけて学び、重要な人脈を築いてきたという道のりがありました。

今回の訪日の最大の目的である日本マンガ塾は、国内でも屈指の技術力を誇る専門校として知られ、プロのマンガ家を最も多く輩出している名門校です。この名門校への訪問は、マンガの世界において大きな壁となりがちな「言語の障壁」を乗り越えるための、非常に意義深い機会となりました。そして、その機会を現実のものとし、学生たちの学びを確かなものにしたのが、ボーダーレス・トランスレーションズによる通訳の力だったのです。彼らの存在は、単なる言語サービスではなく、文化と言葉の壁を越える“架け橋”そのものとなったのです。

言語や文化の枠を超えてつながろうとする思いこそが、コフィ氏と、ボーダーレス・トランスレーションズのような志を共にする表現者たちを結びつけています。「私たちは、ただ言葉を訳しているわけではありません」と語るのは、ゲーム開発会社 Borderless Studios も手がけるマック・ケンデマ氏。
「私たちの使命は、アイデアが国境を越えて届く手助けをすることにあります。だからこそ、コフィ先生のように、明確な目的を持って世界にインパクトを与える何かを生み出そうとする誰かが現れたときには、その物語の一端を担えることを心から誇りに思うのです。」

そして、このストーリーは、まだ始まったばかりです。コフィ氏は今、場所や言語の壁を越えた国際的なマンガ教育を目指し、長期的なビジョン──グローバル・マンガ・アカデミーの土台づくりに取り組んでいます。
この4日間は、
学生たちにとっては、ただのワークショップではなく、人生を変えるような体験となり、
コフィ氏にとっては、長年の夢が現実となった瞬間であり、
ボーダーレス・トランスレーションズにとっては、「創造に国境はいらない」ことをあらためて証明する場となりました。
そして、関わったすべての人にとっても――
ビジョン・情熱・行動こそが、人の心を動かし、感動を生む力であることを実感する機会となったのです。

グローバル・マンガ・アカデミーを応援しませんか?

学生の支援や今後のコラボについては

 コフィ・バゼル=スミス 氏までお問い合わせください。

 公式サイト:https://www.kofimanga.com/

日英・英日通訳・翻訳サービスのお問い合わせは

 マック・ケンデマ(Borderless Translations)

 Email: mac@borderlesstranslations.jp

 Borderless Studiosの支援はこちら:

https://ko-fi.com/post/Help-Us-Bring-Clock-Out-at-2-to-Japan-V7V712CBCG

執筆:アンジェリーナ・マファンガ、The AM Muse 創設者

クリエイターや志あるブランドが、心を動かすストーリーを世界に届けるための、ブティック型ブランド&メディアカンパニーです。

Published by mackendema

Founder and JP-EN Translations Lead of Borderless Translations/Script Writer/Game Designer/Video game reviewer

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