ラテンアメリカのスペイン語とカスティーリャ・スペイン語、どちらを学ぶべきか。

新しい言語を学ぶ理由は様々です。世界中でとくに広く使われている言語の1つであるスペイン語を学ぶ人が増えています。では、スペインで使われているカスティーリャ・スペイン語と、南北アメリカで使われているラテンアメリカのスペイン語のどちらを学べばよいのでしょうか。ここでは、この主な2つの方言の違いをご紹介します。  スペイン語にいろいろな方言がある理由 ラテン語に起源を持ちアラビア語の影響も受けているスペイン語は、最も広く使われているロマンス語であり、世界中に多くの話者がいます。現在のスペイン語は、11世紀にイベリア半島で形成されたカスティーリャ語に由来しています。カスティーリャ語は、1492年にフェルナンド2世とイサベル1世(カトリック両王)によりスペインの公用語に指定されました。スペイン語の最初の教科書が書かれたのもこの時です。 それならやはり、学ぶべきは最初のスペイン語であるカスティーリャ・スペイン語かというと、そうとも言えません。フェルナンド2世とイサベル1世の時代の後、スペイン語の歴史はより複雑になっていきます。16世紀のスペインによる領地拡大および植民地化政策の結果、メキシコ、中米全ての国、南米のほとんどの国、キューバなど数カ国の島国、アフリカの赤道ギニアなど、今日20カ国がスペイン語を公用語としています。アメリカ合衆国には、同国内への移住者の影響で今日多くのスペイン語話者が存在します。  スペイン語を使用する国が多くあるということは、スペイン語には数多くの方言があることを意味し、またそれぞれの方言は大きく異なっています。スペイン語を学ぶ人にとって幸いなことに、これら方言のほとんどは互いに理解することができ、そのうちカスティーリャ・スペイン語とラテンアメリカのスペイン語の2つは広く教えられています。  カスティーリャ・スペイン語とラテンアメリカのスペイン語との違い では、この2つの方言の違いは何でしょうか。最も顕著な違いは発音にあります。ヨーロッパのスペイン語話者は、「e」または「i」の前にくる「c」「s」「z」を「/θ/」(例:「thing」の「th」)と発音しますが、ラテンアメリカでは、これを「/s/」または「/z/」と発音します。この他にも、例えばアルゼンチンなど、カスティーリャ・スペイン語と特徴的に異なる音を持つラテンアメリカの方言もあります。文法上で重要な相違点は、かしこまった言い方をする場合の2人称です。ヨーロッパのスペイン語では、2人称複数を表す場合、くだけた表現の「ustedes」と、かしこまった表現の「vosotros」という2つの表現がありますが、南北アメリカ全域ではどちらの場合も「ustedes」を使います。 最終的にどちらのスペイン語を学ぶべきかは、あなた次第です。スペインを旅しそこに暮らしたいと夢見る人や、フラメンコなどのスペイン文化に興味がある人は、カスティーリャ・スペイン語を学ぶとよいでしょう。しかし、スペイン語を学ぶ多くの人にとってどちらがより役に立つかというと、アメリカ合衆国を含む南北アメリカ全域でより広く使われている、ラテンアメリカのスペイン語かもしれません。さらに注意したい点は、ラテンアメリカの方言は、ほとんどの場合互いに理解することができるものの、アクセントや語彙は大きく異なる点です。アルゼンチンでワインを嗜みタンゴを踊りたいのであれば、アルゼンチンの方言(リオプラテンセ・スペイン語)を学ぶとよいでしょう。 学ぶ準備ができたら、さっそく始めましょう。 どの方言を学ぶかを決めたら、さっそく学習を始めましょう。幸い、スマホやパソコンを使って言語を学ぶことができるアプリやプラットフォームは、山のように存在します。Lingodeer(リンゴディア)、Memrise(メムライズ)、Rosetta Stone(ロゼッタストーン)など人気が高いもののほとんどが、カスティーリャ・スペイン語とラテンアメリカ・スペイン語両方の学習を提供しています。カスティーリャ・スペイン語を学ぶのにお勧めのアプリは、Mondly(モンドリー)、Busuu(ブースー)、Duolingo(デュオリンゴ)です。Rocket Spanish(ロケット・スパニッシュ)、またはPimsleur(ピンズラー)のメキシコ・スペイン語コースで、ラテンアメリカのスペイン語のレベルをチェックしてみてもよいでしょう。ぜひ楽しく学んでください。