翻訳業界に入るには

原文(英語)著者:Mo Stone 翻訳はここ10年で非常に大きく成長した大規模な業界です。インターネット、技術、接続環境により、国境を超えたやり取りがこれまでになく簡単になっている今、翻訳業界は今後も成長を続けるでしょう。これは、専門としたい分野や働き方(フリーランスまたは社員)によって、翻訳者にとって大きな機会です。翻訳者として業界へ入るためのアドバイスをご紹介します。 翻訳者のための教育と資格 まず、明らかなことを指摘するようですが、少なくとも2つの言語を知っている必要があります。現在、翻訳需要が高い言語は、英語、中国標準語、スペイン語、ロシア語、ドイツ語、日本語です。あなたが扱う言語の高い言語能力を示すことです(母国語である、大学で専攻した、その言語が話される国の留学や在住経験があるなど)。 しかし、もう1つの言語をただ知っているだけでは、翻訳のキャリアを保証するものとはなりません。これに加えて翻訳について学んだり資格を得ることは有益です。大手翻訳会社の多くは、必要な資格や能力をウェブサイトに掲載していますので、希望する会社があれば、これを目標にすることができます。また、例えば米国を拠点とするアメリカ翻訳者協会(ATA)の翻訳者認定など、あなたの国の翻訳の資格を調べてみましょう。 また、仕事に役立つ様々なツールやソフトウェアの資格も検討してみてください。これは、企業の採用担当者が必ず探しているものです。翻訳者は皆、講座やウェビナー、ネットワーキングイベントなどを通して自己の成長に努めることをやめず、最新の技術や傾向を常に把握することが必要です。これは、他の翻訳者との差を付け、業界での雇用につながります。 翻訳者を始める 幸いにも、翻訳者になるには翻訳専門の学校へ通う必要はありません。高い言語技能や文化的知識を持ち、最新の技術やツール、市場傾向を知ることが、他の翻訳者との差を付けることにつながります。また、別の分野での経験も、翻訳キャリアの足を引っ張るどころか役立つものとなるでしょう。例えば、法律や医療分野での職務経験は、法律・医療翻訳という、業界でも特に特化した分野での翻訳を始めるのに役立ちます。 フリーランスとなる場合は、自分のブランドを築くため、ウェブサイト、SNS、仕事の人脈作りに時間を割きましょう。あなたのオンライン上のイメージをプロらしく保ち、投稿内容を一貫させましょう。正式な教育を修了したり、副業として翻訳を行うなどから始め、それと同時に得意分野の仕事を探しましょう。ProZは、職探しにお勧めのウェブサイトです。より一般的な求人情報ウェブサイトには、FiverrやUpworkなどがあります。こういった最初の仕事の報酬は低いかもしれませんが、経験を積み、依頼者からの評価(理想的には高評価)を得ることにもつながります。 量より質 翻訳のキャリアに進む時には、正確な翻訳と丁寧な校正による高い基準を自らに設けることが必要です。これは、あなたが翻訳した訳文の校閲者がいる場合であってもです。高品質の仕事は、再依頼や新規の依頼につながり、仕事に満足した依頼者からの高評価につながります。世間でよく言われるように、最高の宣伝は口コミなのです。

フリーランサーからフリーランサーへのアドバイスとヒント

原文(英語)著者:Mo Stone(モー・ストーン) 大学で言語を勉強したので、やはり翻訳者になろうと考えている人。翻訳会社に勤めていて独立したいと考えている人。もしくは、ライターのかたわら言語力を生かした仕事をしてきたものの、その副業を本業にすべきかと考えている人。そんな皆さんには「フリーランスになるべきか」という重大な質問があると思います。 フリーランス翻訳者の生活がどのようなものなのか、そしてフリーランスとして働き始めたばかりの人へのアドバイスやヒントなどについて、Borderless Translation翻訳者のクリスを始め、東京を拠点とする3人の翻訳者に尋ねました。 フリーランスとして働き始める。 フリーランサーの多くは、最初からフリーランスとして働くことを望んでいたわけではなく、自然とフリーランスになったという人がほとんどです。「最初に受けた翻訳の仕事がどんな仕事だったかも覚えていませんが、バイリンガルのライターであると言うと『だったら翻訳もできますか』と聞かれることが多いです。最初に受けた仕事は主に執筆の依頼だったのですが、私に言語スキルがあることを知っていた顧客に、翻訳の仕事も依頼されました」と話すのは、Florentyna Leow(フロレンティーナ・リオ)さんです。クリスのように非正規社員として異なる会社に勤めた後、フリーランスになる翻訳者もいます。Alex Fisher(アレックス・フィッシャー)さんは、副業としていた翻訳をフリーランスで行うことを決めましたが、最初の顧客を獲得することが一番大変なことだと分かっていました。「たくさんの履歴書を書いて送りましたが、返答があったのは1社のみでした。でも結局は、それで十分だったのです。その顧客は、現在でも私の仕事の土台となっています」とフィッシャーさんは話します。 柔軟性と自由度 フリーランス生活の利点と言えば、多くの人が真っ先に思いつく大きな点が柔軟性です。今回取り上げるフリーランサーたちも、スケジュールや作業場所、引き受ける仕事の内容などに対する自由を満喫しています。「他の誰かの夢のために働くのではなく、誰とどうやって仕事をしていくかを自分で決めることができます。私は興味の対象が多いのですが、フリーランスであるからこそ、自分が興味ある分野の仕事を選択できます」とリオさんは話します。この他の利点として、自分の仕事に対する責任感とプライドを持てること、そして満員の電車やバスによる通勤をしなくてもよいことなどが挙げられました。 1人仕事の大変さ しかし、自分自身に裁量があることには、良い面もあれば悪い面もあります。「全責任が他の誰でもなく自分にあります。フリーランサーは基本的に従業員1人の会社です。今までは何人かで担当していた仕事を、すべて自分1人で行わないといけません。私は自分で会計処理をしますが、それと同時に仕事探し、自分の売り込み、フリーランサーとしてやっていくための具体的な調整などのすべてを自分で行わないといけません」とリオさんは話します。クリスにとって、仕事の不安定さとそれに伴う仕事と生活の両立が課題となりえます。「仕事をお断りするのは大きなストレスなので、スケジュールが過密な時でもお引き受けし、結果的に膨大な仕事量となってしまうこともあります」とクリスは話します。 フィッシャーさんは、別の面での両立の困難も感じています。「顧客とフリーランサーの力のバランスは、常に難しい問題だと思います。フリーランサーとして顧客の満足度を保つために、自分はどこまですべきか。『お金は時に高すぎる』と言った友達がいましたが、この言葉はとても役に立ちました」とフィッシャーさんは言話します。 フリーランサーからのアドバイス フリーランサーとして成功するための鍵は、整理整頓です。重要な作業や納期をきっちり把握するために手書きのリストを用意する、スプレッドシートやカレンダー、リマインダーアプリなどのソフトウェアツールを活用するなど、それぞれの翻訳者にお気に入りの方法があります。顧客を探す方法としては、多くの仕事が翻訳会社またはオンライン求人情報サイト(フィッシャーさんおすすめのサイトはこちらproz.com)を通して得られます。しかし、口コミの力も侮れません。「私は売り込みが得意な方ではありませんし、積極的に新しい仕事を掴もうとしているわけでもありません。自分の仕事の出来を見て判断してもらう方が良いと思っています。納期を守って良い仕事をすることはもちろん、一緒に仕事をしやすいことは、顧客が新しい顧客を紹介してくださることにつながるようです」とリオさんは話します。 最後に、ここで取り上げたフリーランサーに、フリーランス翻訳者を始めようとする人に対して何かアドバイスはないかを尋ねました。「まずスキルを身につけ、できればコネクションをいくつか築いてからフリーランスに転向する。焦って始めることはないと思います」とクリスは話します。フィッシャーさんは、これに賛同した上で「両足でいきなり飛び込むのではなく、副業として始めてそこから広げていくことをおすすめします。毎月の家賃の支払いを心配することなく、どうすれば上手くいくのか、自分のニッチは何かなどを探るために、試しながら始めるのがいいと思います」と付け加えます。 最後にリオさんからのアドバイスはこうです。「領収書は全て保管しましょう。そして、親切で一緒に働きやすい翻訳者になること、人に利用されないようにすること、他のフリーランサーと親しくなり、できる時に恩送りすること」。どの業界に通用する素晴らしいアドバイスですね。